『友へ チング』

韓国版『スタンド・バイ・ミー』とか『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』と評されているらしいが、これは、任侠。ヤクザ映画だと思う。
し過ぎた期待や前評判ほどでもなかったな。

1976年、プサンの悪ガキ4人組。
いつも遊んでいた彼らは高校で再会し、つるむようになる。しかし、その後はそれぞれの道を歩み、2人はヤクザになり対立していく。
”チングという言葉は「親旧」と漢字で書いて、長く久しい友という意味”
これが、この作品のテーマである。

派閥抗争が起き、友であるドンスの刺殺を企てたと裁判で認めてしまったジュンソクが、面会に来たサンテクに言った言葉「あいつも俺もヤクザだから、カッコ悪くちゃいけないんだ」には、ぐっときた。この一言が、全てを現しているようだ。
でも、最後のこのセリフに結びつく程の少年期のエピソードがないため、なぜこれほどの思いを抱いたか、やや唐突に感じる。
スローモーションやストップモーションで感動を誘うのはズルイ方法だと思っているが、この映画はそれが多かったな。安易だ。
キーワードとなる「親旧(チング)」という言葉も多用しすぎていた気がした。

一番残ったシーン。
高校時代の4人が映画館に向かって町を走り抜けるところ。
何てことないこんな日常的なことが楽しい様子に、ほろっときた。泣けたのはそこだけだった。(ここは、超少数派の感動ポイントだと思う)
誰もが涙し。ラストで涙が頬を濡らします。って寸評もあったのになぁ。

ジュンソクの言葉に、木村君が吾郎のことを「あいつにはカッコ悪くなってほしくなかったんだ。」と言っていたのを思い出した。この言葉、深いよね。