ストーンズ・イン・ヒズ・ポケッツ

6月5日、観劇。
あの日、私は眠かった。
5列目で初めの辺りで、私は一瞬寝た。勝村に見つかったかも。悪い事した。
眠かったのは、睡眠不足と満腹とその日いっぱい歩き回ってくたくただったせいで、決してつまらなかった訳ではない。反省。

市村正親勝村政信が、老若男女15役を演じる2人芝居。
ある日、アイルランドの小さな村に、ハリウッド映画の撮影が来たことから、この舞台は始まる。

客電が落ちる前、CMが流れる。
ただのCMだと思って聞き流したが、後で思うと既にあの時、芝居は始まっていたのだ。
映画館で上映前に流れるCMを模したのだろう。ということは、おすぎの真似をする関根勤だと思っていたあの声は、2人のどちらかだったのかも知れないな。

これはコメディだ。
重く暗くなりがちな話をコメディで表現したところが気に入った。
実は、予めいろいろ教えを請うていたのでまあ理解できたが、難しかったってのが感想だ。
知らなければ、アイルランドが舞台であることも、特に気に留めることもなかっただろう。それを意識するのとしないのとでは、感じ方が変っていたに違いない。
ただ、コメディとして楽しむのも、それはそれでいい気がする。

アイルランドの私の乏しいイメージは、暗くて低い空と痩せた土地。
以前「世界ウルルン滞在記」で、津田寛治くんが訪れていた回を見た印象だ。
そんな土地で、住民は彼等の文化に愛着と誇りを持ち、親の仕事を継いで暮らしていた。タイトルの「石」もアイルランドからイメージするものの一つだった。

ステージでは、その低い空が映し出されていた。あの時の空と同じだ。
ここで自分の中のアイルランドとこの舞台が一致した。

市村・勝村の2人の演じ分けは、名人芸の域。
一人芝居だったとしても難儀なのに、2人芝居となれば稽古は相当ものだろう。
息も合っていて、観客の方が付いて行くのが忙しいくらい。2人で踊るアイリッシュダンスは、実はストーリーが重いこの芝居において、明るく楽しいシーンだ。
翌日も今も、この音楽とダンスが、残って残ってー。

ダンスが好きなので、踊るシーンが出てくる映画やステージは好みなのだ。
「リバーダンス」のDVD(借り物)、もう一回観ようっと。