市川猿之助歌舞伎「南総里見八犬伝」三幕 1

猿之助の宙吊りが観たくて。

年も年だし、そう長くは宙吊りも出来まい。今のうちに見ておかなきゃと思っていたところ、中日劇場の公演前売りが始まった。しかも「八犬伝」。これなら初心者でも楽しめそうだ。
席はSとAの2種。2階の6列目以降だけがA席で、Sと8000円も値段が違うので、宙吊り目当ての初心者はA席を狙い、7列目が取れた。たった2列違いで8000円差は大きい。

スーパー歌舞伎を、ロック歌舞伎「スーパー一座」のことだと数年前まで思っていた。
そもそも、スーパー歌舞伎ってなに?歌舞伎とどう違うの?
スーパーファミコンとかスーパーコンピューターみたいな、とにかく「スーパー」「超」ってことなのか?
学生時代に親と行った「顔見世」では寝てしまった歌舞伎。よく分からないが、スペクタルなシーンを期待して臨んだ。

期待通り、とても面白かった。
巨大バケ猫(トトロのよう)のセット、着ぐるみ猫が宙返りや側転、バク転をする立ち回り。
ドライアイスの演出や幕が落ちたり、屋根から飛び降りたり。
歌舞伎だが、ショウのようでもあり、ドラマチックでファンタジック。まさに、ジャパニーズスーパーエンターテイメント。
タカラヅカやジャニーズは、歌舞伎の流れを汲むのかなと思わせる。

一番の見どころは、大詰の、つづら抜け宙乗り
つづらが浮き、中から猿之助演じる道節が飛び出し、つづらを背負って宙を舞う。
1階から2階の端まで、会場を斜めに走ったワイヤーで宙吊り移動する。
1階を移動している時は、吊られるワイヤーが長くて、観客に近い。2階ではワイヤーが短くなり、2階の客席の近くを通る。
観客に猿之助がお手振り。もちろん、きゃーと私らも手を振る。スマコンでクレーンのメンバーに手を振るのと同じ感覚だ。
タッキーか光一みたいなことを、猿之助がするのだ。こんな宙吊り、スマは出来まい。65でやってしまう猿之助は素晴らしい。
最後の勢ぞろいしての舞いは、それは華やかでかっこいい。
ヅカのラストみたいだ。

(2へ続く)