鯉のぼり

たかが「サタ☆スマ」で泣いてしまったー。
中居らが鯉のぼり屋にお手伝いに行った。ここのは手書きの手作りの鯉のぼりだ。
欲しいーぃ!坊はおらんけど、うちに欲しいーぃ。
こんな鯉のぼりを揚げたらいいだろなあ。すくすく健やかに雄大に子は育ちそうだ。作りたーいーーっ!私もやってみたいー。

その鯉のぼりの納品時間の迫る中、製作途中にコトは起こった。
ブレーカーが落ちて真っ暗なり、墨壷をひっくり返してしまったのだ。傍らの中居くんたちの作っていた真鯉は無事だったものの、床を伝って、下の階にあった完成間近の緋鯉が台無しになってしまう。大事な型紙も汚れたかもしない。
なんてことしたんだ!サタスマ
唖然として「へっ?」と口を開けたまま、見ていた私が固まってしまった時、三代目社長が泣いたのだ。商人ではなく、職人としての涙だ。
製作したものが突然台無しになって気が抜けて悲しいのがよくわかり、一緒にもらい泣きしてしまった。中居くんの「俺じゃないってーぇ」が虚しかった。(ホントに違うだろうけど)

しばらくすると、社長はにこやかにテキパキと作業を再開させた。店主としては納品に間に合わせたいに違いない。結局、未完成品を納めることになったことは、きっと申し訳なさでいっぱいだろう。TVに来てもらったことを後悔していたかもしれない。
でも、ちびっこが喜んでいる様子に、うれしそうだったのでほっとした。
職人冥利に尽きるよな、作ったものが喜ばれるって。