「マクベス」 大阪・近鉄劇場 1

蜷川幸雄演出の再演。
出演:唐沢寿明大竹しのぶ

・予習
岩波文庫マクベス」 木下順ニ訳
小田島氏の訳本にしようかと思ったが、「『マクベス』を読む」という講演が載っているのを見つけて選択。翻訳に当たっての解釈が面白かった。
大筋は単純だが、私は予習なくてはきっと理解出来なかっただろう。
本で印象的な台詞が、役者の口から聞けた時は感激。戯曲だから当たり前なんだけど。

・たまたま「旅窓」で安くて取った都ホテルは、会場に隣接。上着無しで開演15分前に部屋を出て入場できる便利さだった。
席は上手、4列目。あまりの近さと会場の狭さに驚いた。もっと後ろだと思っていたので、双眼鏡(ドームで愛用)まで持参したんだけど。これが後で大手柄。

・マクダス役の勝村政信が療養中につき降板。
ストーンズインヒズポケッツでのリズム感の良さから、タップや日舞をやっていたマクベスの唐沢くんとの戦闘シーンは期待していたので、ちょっと残念。
後でパンフを読むと、唐沢君と「(唐沢が)倒れたら何とかしてくれるか?」「任せおけ。」のと会話があったよう。マクベスを狙い(唐沢談)台詞まで入っていた勝村が、自身の代役を必要とすることになろうとは。NY公演には参加できますように。

・客席が映る鏡の幕
どういう仕掛けかシェードにもなっており、シーンによっては中の様子も幕越しに見せる。
そして、舞台の中も鏡張り。これが効果的に奥行きや広がりを出すだけではなく、玉座についた背中や、会場内からの登場の松明を映したりと、光と影が上手く表現されている舞台装置だった。
天井から下がる赤い数本のロープ。マクベスの葛藤のシーンなどに登場。これはマクベスの心のを表す何かなのだろう。「蜘蛛の糸」のイメージ。

・蓮
衣装は、白、赤、黒と色も象徴として表現されていたよう。
スコットランドが舞台なので、そいういう風景を想像していたが、蓮と竹の風景や衣装が東洋的。
枯れた蓮いっぱいのシーンから始まり、大きな蓮の花を持つマクベス夫人、マクベス夫妻の衣装にも、蓮のモチーフ。
なぜ蓮なのかは分からないが、泥の中から生え綺麗な花を咲かすという蓮で、罪の中での良心を表していると考えた。

(2へ続く)